
富士フイルムがエントリーモデルのミラーレス一眼カメラ・X-T100を2018年6月21日にリリースします。カラーはブラックに加えて新色のダークシルバー、シャンパンゴールドの3色とかなり攻めたカラーラインナップに。
X-T100は電子ビューファインダー(EVF)を搭載した一眼レフスタイルの小型ミラーレス一眼カメラで、イメージセンサーはX-Transセンサーではなくて一般的なベイヤーセンサーを搭載しているので、基本的なカメラスペックはX-A5に準じたものになっています。
EVFを搭載したミドルレンジモデルとしてX-T20がありますが、X-T100はその下のエントリーモデルとして君臨することになりますが、デザインはX-T100の方がカッコイイような…。
ということで、X-T100はX-T20・X-A5と何がどう違うのか徹底比較してみたいと思います。
この記事の目次
X-T100とX-T20・X-A5の違いを比較
デザイン・サイズ
X-T100はX-T2/T20のデザインを継いだ電子ビューファインダー(EVF)を搭載したセンターファインダースタイルのカメラとなっており、X-A5はレンジファインダースタイルのカメラとなっています。
左からX-T100 → X-T20 → X-A5です。

モデル | X-T100 | X-T20 | X-A5 |
---|---|---|---|
幅 | 121.0mm | 118.4mm | 116.9mm |
高さ | 83.0mm | 82.8mm | 66.7mm |
奥行き | 47.4mm (最薄部33.4mm) | 41.4mm (奥行き最薄部 31.9mm) | 40.4mm (奥行き最薄部 31.6mm) |
重量 | 399g | 333g | 311g |
重量 (付属バッテリー、メモリーカード含む) | 448g | 383g | 361g |
X-T20は上部ボディ部分が縦に伸びたようなデザインなのでX-T2とは少し違った印象がありますが、X-T100はまさにX-T2の小型バージョンといえるデザインとなっています。
この3モデルで本体サイズを比較するとX-T100はX-T20よりも大きくなっており、重量もX-T20よりも重くなってしまっているようですね。
- (大きい)X-T100 > X-T20 > X-A5(小さい)
これはちょっと意外ですね。X-T100はXシリーズ初となる水平方向に反転する3方向チルト式液晶モニターを搭載しているので、この辺りの仕様の関係でX-T20よりも大型化してしまったのかも。

個人的にはボテッとしたデザインのX-T20よりもX-T2に似せてきたX-T100の方がカッコイイなぁと思ったり。特にダークシルバーという新色がなかなかイイですね。でも、FUJIFILMとX-T100のロゴの色はブラックの方が良かったような…。
操作体系の違い
X-T100とX-T20では操作体系が随分と異なったものとなっています。

X-T100は初心者向けを意識した設計となっており、本体右側にモード切り替えダイヤルで簡単にシーンモード切り替えができるようになっています。
また、右側にはファンクションキー、メインコマンドダイヤル、動画ボタンが、本体左側にユーザーがファンクションダイヤルを搭載しており、ファンクションダイヤルとメインコマンドダイヤルはユーザー側でシャッタスピードや露出補正調整などの機能に割り当てることができるので、高度な操作をしたい方もそれなりに使うことができる操作体系といえそうですね。
一方のX-T20はブラケットダイヤル、シャッタースピードダイヤル、露出補正ダイヤルを搭載しより高度な操作をすることができるようになっており、さらにAuto切り替えスイッチで簡単にオートモードにすることができるようになっています。
X-T100は二つのダイヤルをカスタマイズできるので、設定次第ではX-T20よりも使い勝手の良い操作を実現することも可能になるかもです。
なお、X-T100の本体デザインはグリップなしのシンプルなスタイルとなっていますが、別途取り付け型のグリップが標準同梱されているので、好みでグリップを取り付けることが可能となっています。
サードパーティ製のグリップとか登場しそう。
2400万画素のベイヤーセンサーを搭載
X-T100はX-A5と同じAPS-Cサイズの2,424万画素の一般的なベイヤーセンサーが搭載されており、X-T2/20などに搭載されているFUJIFILM独自配列のX-Trans CMOS Ⅲセンサーは採用されていないのが特徴となっています。
モデル | X-T100 | X-T20 | X-A5 |
---|---|---|---|
画素数 | 2,424万画素 | 2,430万画素 | 2,424万画素 |
撮像素子 | APS-C 正方画素CMOSセンサー |
APS-C X-Trans CMOS Ⅲセンサー |
APS-C 正方画素CMOSセンサー |
撮影感度 | ISO200~12800(拡張感度設定:ISO100/2560051200) | ||
連写 | 約6.0コマ/秒 (連続記録枚数:JPEGは26コマ) |
約8.0コマ/秒 約14.0コマ/秒(電子シャッター) (連続記録枚数:JPEGは42コマ) |
約6.0コマ/秒 (連続記録枚数:JPEGは10コマ) |
測光方式 | TTL256分割測光 マルチ/スポット/アベレージ | TTL256分割測光 マルチ/スポット/アベレージ/中央重点 | TTL256分割測光 マルチ/スポット/アベレージ |
メカニカルシャッタースピード | 30秒~1/4000秒 | ||
電子シャッター | 30秒~1/32000秒 |
連写性能はX-T20は1秒間に8コマなのに対してX- T100は6コマとなっており、連続記録枚数も26コマと少なめになっていますが、X-A5と比べると大幅に連続記録枚数は増えているのが分かります。
バッファーメモリが増強
X-T100はX-A5は基本的な性能は同じですが、連続記録枚数はX-A5は10コマなのに対してX-T100の連続記録枚数は26コマと大幅に増えているようです。
これはX-T100は大容量バッファーメモリーを搭載しているためのようで、若干ですがX-A5よりも性能向上がされているようです。
実機で撮影をしてみましたが、X-A5よりも写真の保存速度が向上しているので撮影後のタイムラグがX-T100の方が少なくなっているみたいなので、X-T100の方が撮影はしやすいカメラになっています。
新AFアルゴリズム採用(X-A5もファームウェアで対応へ)
X-T100のオートフォーカス速度が向上してるかどうかが気になるところですが、公式に「新開発のシーン認識アルゴリズムの採用により、AFの速度・精度を向上。」という記載があり、もしかしたX-A5よりもAFの速度が向上している…かも?
ちなみに、X-A5では「像面位相差AFに対応した新開発2424万画素センサーと、処理速度が1.5倍に向上した画像処理エンジンを搭載」と説明されており文言を変えただけの可能性もありそうですが。
追記:X-A5 ファームウエアバージョン1.10が配信しAF性能が強化されることが発表されました。
「FUJIFILM X-T100に搭載された、新開発のAFアルゴリズムに対応しオートフォーカススピードの大幅な高速化と、動体に対するフォーカス精度の向上を実現しました。」
つまり、X-T100のAF速度は現行X-A5よりも高速になっているということ!X-A5もAF速度が向上するのは嬉しいですねー。
参考までにX-A5(ファームウエアバージョン1.000)のAF追従性能をどうぞ。
フィギュアという悪条件なので追従性はかなり悪いのですが、顔認識ができる人が被写体ならそこそこ追従してくれます。ファームウェア1.10でどこまで性能が向上するのか楽しみ。
追記:X-T100の実機でAFの性能を確認してみました。SRモードだとシャッターボタンを半押ししなくても常に状況に合わせてAFを合わせてくれるように進化をしており、被写体の追従性もかなり向上しているようです。
X-T100のAF性能はかなり進化を果たしているように感じます。
そして、こちらはX-H1(X-Trans CMOS Ⅲセンサー)です。
全然違うでしょ。X-Trans CMOS IIIセンサーのメリットはAF性能といってもいいかもですね。
なお、X-Trans CMOS IIIセンサーとベイヤーセンサーの画質の違いについて詳しく書いた記事もあるので参考にしてくださいませ。JPEG撮って出しならベイヤーセンサーの方が解像感は…あります!
なので、風景撮影がメインでJPEG撮って出しが基本スタイルならベイヤーセンサーのX-T100やX-A5の方がいいのかもしれませんよ。
撮影機能の違い
X-T100はX-A5に搭載されていたシーンポジション機能を搭載しているので、初心者の方でも簡単に撮影をすることができます。(X-T20はレバーで切り替えをすることができるAUTOモードにすることができます。)
モデル | X-T100 | X-T20 | X-A5 |
---|---|---|---|
撮影モード | シーンポジション(アドバンストSRオート/P/S/A/M/夜景/スポーツ/風景/美肌/SP(シーンポジション)/アドバンストモード/パノラマ) 4K連写、4Kマルチフォーカス |
AUTOモード(アドバンストSRオート 58パターン) | シーンポジション(アドバンストSRオート/P/S/A/M/夜景/スポーツ/風景/美肌/SP(シーンポジション)/アドバンストモード/パノラマ) 4K連写、4Kマルチフォーカス |
フィルムシミュレーション | 11モード | 15モード | 11モード |
アドバンストフィルター | 12 | 8 | 12 |
フラッシュ | 手動ポップアップ式 CMOS調光によるフラッシュ 約5m(ISO100) |
手動ポップアップ式 TTL調光フラッシュ 約5m(ISO100) |
手動ポップアップ式 CMOS調光によるフラッシュ 約4m(ISO100) |
動画 | 4K 3840×2160 15p 連続最大約30分まで Full HD 1920×1080 60p 連続最大約30分まで |
4K 3840×2160 30p/24p 100Mbps 連続最大約10分まで | 4K 3840×2160 15p 連続最大 約5分まで Full HD 1920×1080 60p 連続最大約14分まで |
X-T100は4K動画の撮影はできますがフレームレート15pとX-A5と同じとなっています。
しかし、連続撮影時間が5分から30分と大幅に長くなっておりフルHD動画も14分から30分になっているので、大容量バッファーメモリの効果がここにも現れているのでしょうか。
液晶・EVFの違い
X-T100は水平方向に反転する3方向チルト式液晶モニターを搭載し自撮り撮影をすることも可能になっています。X-A5はEVFがないのでモニターを上にスライドさせて180°反転させることで自撮り撮影に対応しています。
一方でX-T20はチルトの角度に限度があるので自撮りはできないません。
モデル | X-T100 | X-T20 | X-A5 |
---|---|---|---|
液晶モニター | 3インチ(約104万ドット) 3方向チルト式タッチパネル |
3インチ(約104万ドット) チルト式(上:90度、下:45度)タッチパネル |
3インチ(約104万ドット) 180°スライドチルト式タッチパネル |
EVF(電子ビューファインダー) | 0.39型有機ELファインダー 約236万ドット(視野率 約100%) アイセンサー付き |
– |
X-T100はEVF(電子ビューファインダー)を搭載しており、スペック上はX-T20と同等レベルのEVFを搭載しているので、太陽が眩しい昼間でも快適に撮影をすることができそうです。
なお、X-A5の液晶モニターは他のモデルと解像度は同じですがボヤけてて画質はあまり綺麗ではありません。プロセッサ性能が関係しているのかもしれません。
X-T100の液晶モニターの品質はどうなのかが気になるところです。
通信機能の違い
X-T100はWi-FiとBluetoothに対応しています。
モデル | X-T100 | X-T20 | X-A5 |
---|---|---|---|
Bluetooth | 4.1 | – | 4.1 |
Wi-Fi | IEEE802.11b/g/n (WEP/WPA/WPA2 mixed mode) インフラストラクチャーモード |
IEEE802.11b/g/n インフラストラクチャーモード |
Bluetoothに対応したことでアプリ「FUJIFILM Camera Remote」と簡単にペアリングしてリモート撮影や撮影した画像の閲覧・転送をすることが可能となっています。
撮影可能枚数
バッテリーパックは全モデル共通となるNP-W126Sとなっており、撮影可能枚数はX-T20は約350枚ですが、X-T100は90枚も多い約430枚となっています。
モデル | X-T100 | X-T20 | X-A5 |
---|---|---|---|
撮影可能枚数 | 約430枚 | 約350枚 | 約450枚 |
X-Trans CMOS Ⅲセンサーは消費電力が高いのが撮影可能枚数に影響が出てしまっているのでしょう。
同じ2,400万画素の同じ写真でもベイヤーセンサーは9MB程度のデータサイズで済むのに対して、X-Trans CMOS Ⅲセンサーだと14MBになってしまうので、それだけ処理に電力負荷が高いということ。
X-T100なら撮影枚数も多く、データ量も抑えることができるので、ついつい写真を多く撮ってしまうというユーザーにとっては嬉しい仕様といえます。
価格の違い
X-T100はエントリーモデルということでレンズキットはX-A5と同じXCシリーズとなります。
X-T100の直販価格はボディ単体が80,460円、レンズキット(XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ)が94,500円、ダブルズームレンズキット(XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ+XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II) が107,460円となりますが、しばらく時間が経過した実売価格はこんな感じになるかな?
モデル | X-T100 | X-T20 | X-A5 |
---|---|---|---|
実売価格 (ボディ) | 69,000円 | 83,000円 | 44,000円 |
実売価格 (レンズキット) | 81,000円 | 115,000円 | 59,000円 |
X-T20とX-A5の間って意外と価格差があるので、X-T100がリリースされた事でいい感じにこの間を埋めることができそうですね。さすがFUJIFILM。戦略がうまい。
それにしてもX-A5って安くなりましたね…。発売日にレンズキットを73,000円で購入したんですけど…。
X-T100・X-T20・X-A5 どれを選ぶべき?
同じイメージセンサーを搭載しレンズキットもXCシリーズ(XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ)が付属するX-T100の画質は基本的にX-A5と同じと見て良さそうです。
X-Trans CMOS ⅢセンサーのX-T20と、ベイヤーセンサーのX-T100・X-A5。画質はどちらも綺麗です。JPEG撮って出しならX-T100・X-A5のベイヤーセンサーの方が綺麗じゃない?…って思ってしまうくらいです。
では、X-Trans CMOS Ⅲのメリットとは?
X-Trans CMOS Ⅲはデータの読み出し速度が優れているので高速連写やAFの精度・追従性能がベイヤーセンサーよりも高性能で演算処理プロセッサ・X-Processor Proとの組み合わせで操作性は格段にX-T20の方が上になっているのです。
X-T100・X-A5はエントリーモデルという位置付けですが、個人的には初心者の方こそX-T20を使って欲しいですね。
X-T20はAFの追従性が高くて速度も速いのでストレスなく撮影に没頭することができます。実際にX-A5を使ってると「撮るのが難しい…」と感じることが多いんですよね。なので、写真を撮る事に慣れていない方はX-T20を選ぶべきなのかなと思います。(X-E3でもいいよ。ボディ内手ぶれ補正付きのX-H1ならなおよし。)
X-T20を選ぶべき人
- 性能が良くて小さくて軽いのがいい
- カメラ初心者で奮発できる
- 子どもやペットなどを動き回る被写体の撮影がメイン
- 昼間の撮影が多い(EVFが使える)
X-T100を選ぶべき人
- メインのカメラを持っていてサブ機として
- 風景の撮影がメイン
- 昼間の撮影が多い(EVFが使える)
X-A5を選ぶべき人
- メインのカメラを持っていてサブ機として
- 風景の撮影がメイン
- 少しでもコンパクトに持ち運びたい(小さなカバンの中に放り込んでおける気軽さ)
- 少しでも安く購入したい
X-A5で撮影した写真をいくつか載せておきます。(JPEG撮って出しでブログ用に縮小してます。)






X-T100もこんな感じで撮影することができるではないでしょうか。
X-A5は電子ビューファインダーを搭載していないので、明るい昼間の撮影は厳しいなーと感じることが多々あります。しかし、X-T100は小型ボディでありながらもEVFを搭載しているので、太陽が照らす真夏の光景も快適に撮影することができるでしょう。
本体サイズはX-T20よりも大きい箇所があるX-T100ですが、X-T20とX-A5の中間を埋めるモデルとしては最適なモデルといっていいかもしれませんね。
X-A5を買ってしまっているのでX-T100はさすがに手は出せないかなーと思いつつも、めちゃくちゃ気にはなっています。X-T4 レビュー!ボディ内手ぶれ補正で最高のカメラに!メリット・デメリットは?
失礼致します。Vemico会社の広報担当のyukiと申します。ブログを拝見しました。弊社のNP-W126/W126Sバッテリーのレビューブログを書きしてくれませんか。こちらは無料でサンプルを提供します。御返事お待ちしております。どうぞよろしくお願いします。