Anker PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dock レビュー

AppleのiMac 24インチ、外部ポートはUSB-Cが4つだけ(うち2ポートがThunderbolt 3)となっており、メインで使うにはポート不足、USB-Aが使えないなど不便なところがあります。

そこで、外部ポートを拡張できるドッキングステーションのお出まし。ということで、Anker PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockを買ったのでレビューしていきます。

結論を先に書きますが、M1 Macとの相性は悪いのでIntelモデルのMacBook Pro 16インチiMac 27インチを使っている方におすすめのドッキングステーションです。

PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockの特徴

PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockの特徴
  • 13種類のポートをケーブル1本で拡張
  • Thunderbolt 3に対応のパソコンで使える
  • USB-C(PD対応 , 10Gbps, 18W出力)
  • データ転送用USB-C(10Gbps)
  • USB-Aポート (5Gbps, 5V=1.5A)
  • SDカードスロット (SD 4.0 UHS-II)
  • microSDカードスロット (SD 4.0 UHS-II)
  • 3.5mmオーディオジャック
  • Thunderbolt 3 アップストリームポート (40Gbps, 出力85W)
  • Thunderbolt 3 ポート (40Gbps, 出力15W)
  • データ転送用USB-Aポート (5Gbps) × 3
  • HDMI 2.0ポート(4K 60Hz)
  • イーサネットポート(10/100/1000Mbps)
  • サイズ:約125.8 × 88.5 × 41.9mm
  • 重量:約490g
  • 端末価格:29,990円

PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dock。名前がめちゃくちゃ長いのですが長いだけあって高性能なドッキングステーションとなっています。高性能というか対応しているポートが多いので「1台持っておけばOK!」といった感じですね。

ホストと接続するアップストリームThunderbolt 3が1つ、データ通信用のThunderbolt 3ポートがもう1つ、USB-C(10Gbps)が2つ、USB-A(5Gbps)が3つ、HDMI(4K 60Hz)が1つ、さらにUHS-Ⅱ対応のSDカードスロットも搭載している豪華なドッキングステーションです。

アップストリーム用のThunderbolt 3ポートは最大85W出力に対応しているのでMacBook Pro 13インチ、MacBook Airも軽々と充電しながらデータ通信できる能力を持っています。

本体デザイン・サイズ

PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockの同梱品はドッキングステーション本体の他にThunderbolt 3ケーブル(0.8m)、電源アダプタとなっています。

電源アダプタがとにかくデカイ。DC側の出力は最大180Wとなっていたのでフルで使うとそれなりの電力を消費することになりそうです。

85W出力をしながらMacBook Airと接続して電力供給をしながらUSB-C(18W)でスマホの充電もできてしまうのでとにかく電力が必要となるんでしょうね。

Thunderbolt 3ケーブルはとても高価なので追加で購入となると躊躇ってしまいますが、PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 DockはしっかりとThunderbolt 3対応のケーブルが付属してきます。

PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockの本体サイズは平手よりも少し大きいサイズ(125.8 × 88.5 × 41.9mm)で電源アダプタよりもコンパクトなので設置はしやすい大きさになっています。

iMac 24インチの隣に置くとこんな感じとなります。

横置きもできるのでiMacのディスプレイの下にPowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockを設置もできます。

iMac 24インチは軽量化されたモデルなので動かして使うことが多いのですが、動かすことがないならディスプレイの下に置いて使うのがスマートでいいかもしれません。

対応しているポートの種類

PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockは13ポートに対応した多機能なドッキングステーションで、数多くのポートを接続することができます。

前面部分にはSDカード、3.5mmオーディオジャックなどよく取り外しをするポートを搭載し、カメラで撮影した画像をササッとMacの中に移動できます。転送速度が速いUHS-Ⅱ SDカードに対応し動画など大容量データをサクッと移動できるのもいいですね。

10Gbpsのデータ通信ができるUSB-Cポートも搭載しているのでUSB-C対応の外付けSSDを接続することもできますし、PDポートを使うことでスマートフォンの充電もできます。

背面側には接続元となるThunderbolt 3(モニターのイラスト付き)ポート、データ転送用のThunderbolt 3ポートを搭載しているので、M.2 SSDなどの高速ストレージを接続できます。

さらに、USB-Aポートを3つ搭載しているのでプリンター、USBオーディオなどの周辺機器も接続できます。これらの細かいケーブルを1本のThunderbolt 3ケーブル1本だけでMacに接続できるので机の上をシンプルにまとめ上げることができます。

どのようなシーンで役に立つのか

iMac 24インチ外部ポートはUSB-C、3.5mmオーディオジャックのみです。上位モデルはUSB-C × 2ポート、Thunderbolt 3 × 2ポートの合計4ポートありますが、メインで使うとそれでもこんな感じでポート不足となってしまいます。

ゴチャゴチャしたケーブルをPowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockを使うことで1本にまとめ上げることができます。

iMac側のポートではなくPowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dock側に全ての周辺機器を集約させることで…

iMac 24インチ側はこんなにもスッキリとします。

このケーブル1本で動画編集用のSSD、SDカード、データ保存用SSD、バックアップ用SSD、プリンター、マイク(USB)を一元管理できてしまう。素晴らしいですよね!

iMac 24インチだけでなくMacBook Air、MacBook Pro 13インチなどのモバイルノートのMacのどっッキングステーションとしても使うことができます。

しかも、Thunderbolt 3ケーブル1本でMacBook Airの充電ができるだけでなく画面出力もでき、データ転送、周辺機器との接続も一言管理することができます。最高です。

が、しかしです。ちょっと問題ありです。そう上手くはいかないようです。

どうやら、M1チップを搭載しているMacとPowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockは相性が悪いようでSDカードのデータをうまく転送できないことがあったり、一部メーカーのSSDを接続するとレインボーカーソルが表示してフリーズすることもあります。

詳しくは後述しますね。

データ転送速度

外付けM.2 SSD(Thunderbolt 3)

iMac 24インチにPowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockを接続、Thunderbolt 3に対応した外付けM.2 SSDをドック側に接続してデータ転送速度をDisk Speed Testで計測してみました。

外付けM.2 SSD
  PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dock iMac 24インチ Thunderbolt 3
書き込み(Write) 924 MB/s 970 MB/s
読み込み(Read) 1742 MB/s 1941 MB/s

ドッキングステーション経由よりもiMac 24インチのThunderbolt 3ポートに直付けの方が速度が速くなっていますが、書き込み924 MB/s、読み込み1742 MB/sと十分な速度が出ていました。

外付けSSD

一般的な外付けSSDとなるSanDisk SDSSDE60をドック側に接続してデータ転送速度をDisk Speed Testで計測してみました。

外付けSSD
  PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dock iMac 24インチ Thunderbolt 3
書き込み(Write) 467 MB/s 470 MB/s
読み込み(Read) 499 MB/s 524 MB/s

こちらもiMac 24インチに直接繋いだ方が速度が出ていますが、ドッキングステーション経由でも十分な速度を確保できているので問題はないでしょう。

SDカード(UHS-Ⅱ)

UHS-Ⅱ対応のSDカードをドック側に入れてデータ転送速度をDisk Speed Testで計測してみました。

SDカード(UHS-Ⅱ)
  PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dock Satechi UHS-Ⅱカードリーダー
書き込み(Write) 212 MB/s 215 MB/s
読み込み(Read) 263 MB/s 267 MB/s

SatechiのSDカードリーダーと比較してみましたが、ドッキングステーション経由でも十分な転送速度が出ているのでUHS-ⅡのSDカードを使う恩恵を受けることができます。UHS-Ⅱに対応しているドッキングステーションってなかなかないので重宝しますよね。

M1 Macだと不安定になる

と、データ転送速度だけを見ていくと問題ないように見えるのですがM1チップを搭載しているMacとの相性は悪いようで安定性に欠けます。

僕はYouTubeで4Kで動画を作ってることもあり普段から30〜40GBの大容量データを移動させて編集もM.2 SSD経由でするので意外と大容量データを扱うことが多いのですが、とにかく使えなかったです。

iMac 24インチMacBook Airで確認しましたが周辺機器との接続確立が切れることが多く、SDカードのデータ転送速度がかなり遅くなることもあります。また、一部メーカーの外付けSSDを接続するとレインボーカーソルが出てフリーズすることもあります。

外付けSSDを強制的に取り外すとフリーズが解除します。謎の現象です。これらの現象はIntelモデルのMacBook Pro 16インチでは出ていないでM1 Macとの相性の問題とみていいでしょう。

また、SDカードのデータ転送速度が不安定です。

45GBの動画データが入ったSDカードをPowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dock経由でM.2 SSD(PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockに接続している)、Macの内蔵ストレージに移動させた時の時間を計測してみました。

M1 MacとIntel Mac
SDカードデータ転送時間
経由 SDカード → PowerExpand Elite → M.2 SSD SDカード → PowerExpand Elite → Mac内蔵ストレージ
MBP 16(Intel) 1回目:5分3秒
2回目:3分19秒
1回目:3分22秒
2回目:2分55秒
iMac 24(M1) 1回目:10分08秒でエラー
2回目:10分06秒
1回目:4分09秒
2回目:8分56秒
MBA(M1) 1回目:6分44秒 1回目:10分16秒

IntelモデルのMacBook Pro 16インチは45GBの大容量データを3分〜5分で高速転送できているのに対して、M1 Macだと5分〜10分ほどと時間がかかってしまいます。途中でデータ転送が停止してステータスが止まってしまうことが何度かあったり、途中で接続確立が切れて書き込みエラーも出します。

とにかく動作が不安定です。IntelモデルのMacBook Pro 16インチはこのようなことはなく、普通に使うことができるので、Intelプロセッサを搭載しているMacBook Pro 13インチ、iMac 27インチとかなら問題はないような気がします。

筐体の発熱が凄い

PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockは発熱が凄いです。上手く放熱しているってことなのかもしれませんが熱いです。

使った感じとして上記のSDカードの速度が遅くなったり不安定になるのは電源を入れてから10分くらい経過してからといった印象があり、電源入れたての冷えた状態だとSDカードのデータ移動もスムーズにいくので、発熱とM1 Macの相性の悪さが影響を及ぼしているような気がしますね。

動画など大容量データを扱うことがない、例えばUSB-A対応のプリンターを接続して使うとか、USBマイクを接続する、外部モニターをケーブル1本で使うなど軽い使用用途なら問題ないような気がしますが、負荷がかかってくると不安定さが目立ってくるように感じます。

PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dock レビュー:まとめ

Anker PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockは1本のケーブルで色んなポートと接続できるので、ポートの少ないMacとの相性はいいでしょう。

PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockのメリット
  • 13種類のポートに対応
  • 1本のケーブルで机スッキリ
  • UHS-Ⅱ SDカードに対応

UHS-Ⅱ SDカードに対応しているドッキングステーションは価格の高いモデルしかない中で、AnkerのPowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockは29,990円と比較的価格が安くて導入しやすいのがいいところでもあります。

しかし、M1 Macとの相性は悪いので注意が必要です。

PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockのデメリット
  • M1 Macとの相性が悪い
  • 筐体の発熱がすごい

実は、今までドッキングステーションは使っておらずMacに直接接続して運用していました。しかし、iMac 24インチを導入してポート不足に悩まされた結果、PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dockを導入してみたのですが、どうも相性が悪かったみたいです。

IntelモデルのMacBook Pro 16インチ、iMac 27インチ、Winodwsマシンを使っているなら問題はなさそうですが、M1 Macを使っているユーザーさんは少し注意した方がいいかもしれません。個体によっても違うのかもしれませんが、このようなことが起きる可能性はありますので。

なお、新型のAnker PowerExpand Elite 12-in-1 Thunderbolt 4はM1 Macは非対応だそうです。