
YouTubeに動画を上げる方が増えてきていますが、動画編集に必要なものにパソコンがあります。もちろん、Macでも動画編集することができますが、どれくらいのスペックがあれば動画編集をすることができるのか、見た目では分からないですよね。
ということで、この記事では動画編集をするにはどのMacBookがいいのかを、編集のしやすさ・書き出しの速度の速さでどっちがおすすめか見てみたいと思います。
動画編集するためのMacBook Air、MacBook Proを探している方は参考にしてみてください。なお、Macの動画編集ソフトにはいろんなものがありますがFinal Cut Pro (FCP)を使うことを前提に話を進めています。
この記事の目次
MacBookシリーズのラインナップ
MacBookシリーズは2020年11月現在、大きく分けて3つのモデルから選ぶことができます。
なお、11月に発売されたAppleシリコンのM1チップをMacBook Air(M1)、MacBook Pro 13インチ(M1)が登場したことでAirでも快適に動画編集ができるようになりました。
MacBook Air | MacBook Pro | ||||
画面サイズ | 13.3インチ | 16インチ | |||
CPU | M1チップ | 2.0GHz・4コア | 2.6GHz・6コア | 2.3GHz・8コア | |
メインメモリ | 8GB | 16GB | |||
ストレージ | 256GB | 512GB | 1TB | ||
価格 | 104,800円 | 134,800円 | 188,800円 | 248,800円 | 288,800円 |
16GB RAM → 124,800円 | 16GB RAM → 154,800円 | 188,800円 | 248,800円 | 288,800円 |
Intelプロセッサを搭載したモデルで動画編集をするなら+ 20,000円でメインメモリは16GBにカスタマイズしておいた方がいいですが、M1チップを搭載したモデルであれば標準の8GBのメインメモリでも十分動作する性能を持っています。
これはM1チップはSoC(システム・オン・チップ)になったことでCPU、GPU、RAMとのデータ転送が高速化しパフォーマンスが大きく向上しています。少ないメモリでも十分快適に作業ができます。
MacBook Airでも快適に編集できる
動画編集をするにはそれなりの性能のマシンが必要となりますが、2020年現在、販売されているMacBook Air・Proであれば実はどのモデルを選んでも普通に編集することができます。

2020年前期のMacBook Air(2020・Intel)は第10世代のCore i3-1000NG4(9W)を搭載し全体的な性能が大幅に向上しFinal Cut Proの動作自体は快適になりましたが、レンダリング・書き出し時間は時間がかかります。
編集はできるけど書き出しは時間がかかる感じです。しかし、2020年後期のMacBook Air(M1)はM1チップを搭載したことで、びっくりするくらい快適に動作するようになりました。
こちらはMacBook Airのデュアルコア(Core i3-1000NG4)+ 16GBメインメモリを搭載したモデルでフルHDの動画を編集している様子です。
40分ほどある元動画を15分ほど編集したのですが、Intelのデュアルコアモデルでも普通に編集できます。ただ、少し凝った編集をすると動作が遅くなってしまいます。しかし、M1チップならどんなに複雑な動画編集になろうとも快適に作業することが可能となってしまいます。
Intelプロセッサを搭載したMacBook Airだと長い動画を編集をしたり、エフェクトなど高度な編集をすると少し動作にモタツキが出てしまい、4K動画も編集できますが「再生中にコマ落ちが発生しました」という警告が出ます。

しかし、M1チップのMacBook Air(M1)ならこのようなコマ落ちはありません。かなり快適に作業できるようになりました。
電池持ち重視ならMacBook Pro
MacBook Air(M1)でも快適に動画編集することができるので、MacBook Pro 13インチ(M1)を選ぶメリットはどこにあるのか?

IntelプロセッサのMacBook AirとProの比較なら動画のカットや調整のアニメーションの滑らかさが圧倒的にMacBook AirよりもMacBook Proの方がスムーズで細かい編集もしやすく作業効率を上げることができました。
タイムラインのサムネイルの表示速度もMacBook Proの方が速いですし、10分以上の動画を編集することが多いならAirではなくProを選んだ方が快適に素早く作業することができました。
しかし、M1モデルはこのような差はありません。唯一の違いといえば動画の書き出し速度といっていいでしょう。MacBook Pro 13インチ(M1)はファンを内蔵し排熱効率がAirよりも上なので、連続した負荷のかかる作業を得意としています。
こちらは、実際にMac mini(M1)、MacBook Air(M1)、MacBook Pro 13インチ(M1)で14分のフルHD動画を書き出し時間を計測したものです。
- Mac mini(M1・ファンあり):11分06秒
- MBA(M1・ファンなし):11分32秒
- MPB 13(M1・ファンあり):11分18秒
- MPB 13(Intel・2.0GHz):19分50秒
ファンレスのMacBook Air(M1)よりも、ファン内蔵のMacBook Pro 13インチ(M1)やMac mini(M1)の方が書き出し時間が早くなっています。Mac miniは筐体が大きくさらに排熱性能が高いのが功を奏しているのでしょう。
とはいえ、この差をどう見るかですよね。個人的には30秒以内は誤差範囲だと思っているので、M1チップを搭載したモデルであれば性能はほぼ変わらないと見て問題ないと思います。
MacBook Pro 13インチはIntelプロセッサを搭載したモデルも選ぶことができます。基本的にはM1チップを搭載したモデルを選んでおけば問題ないですが、互換性、仮想環境、ポート数の問題からIntelモデルを選ぶ必要性もあり得るかもしれません。
- 性能の高さ → MacBook Air(M1) or Pro(M1)
- 持ち運びしやすさ → MacBook Air(M1)
- 電池持ちの良さ → MacBook Pro 13(M1)
- 拡張性の高さ → MacBook Pro 13(Intel)
では、MacBook Pro 13インチとMacBook Pro 16インチのどちらがいいのか。
16インチは専用のGPUを搭載しているので動画の書き出し速度はM1チープよりも速いです。
ただ、編集のしやすさについてはほぼ同じ。もしかしたら、M1モデルの方がしやすいかも。実際に使ってみると13インチの性能があれば十分であることがわかります。
なので、MacBook Pro 16インチを選ぶメリットとしては画面が大きく作業領域が広いか狭いかだけといっていいかもです。
ただ、個人的に16インチの画面サイズいっぱいにタイムラインを表示することはなくウィンドウ化して作業した方が扱いやすいので、画面サイズはさほど問題ではないかな。
それよりも、動画編集しながら他の作業をすることが多いのであればMacBook Pro 16インチを選ぶメリットはあるでしょう。
動画書き出し時間の違いを比較
MacBook Air、MacBook Pro 13インチ・16インチで動画の書き出し速度を比較してみました。すべてのモデルで比較はできないので、所持しているモデルに限定していますが参考になるかと思います。

書き出しするデータは14分のフルHD動画で、条件を合わせるためにレンダリングやプロキシを削除した状態から書き出しをするパターン、レンダリング時間、レンダリング完了後から書き出しするパータンで時間計測をしています。
MacBook Air | MacBook Pro | ||||
画面サイズ | 13.3インチ | 13.3インチ | 16インチ | ||
世代 | 2020 | 2020 | 2020 | 2020 | 2019 |
CPU | M1(CPU8コア・GPU7コア) | 1.1GHz・2コア | M1(CPU8コア・GPU8コア) | 2.0GHz・4コア | 2.6GHz・6コア |
メインメモリ | 8GB ユニファイドメモリ | 16GB 3,733MHz LPDDR4X | 16GB ユニファイドメモリ | 16GB 3,733MHz LPDDR4X | 16GB 2,666MHz DDR4 |
レンダリング削除から書き出し | 7分52秒 | 25分58秒 | 7分37秒 | 11分13秒 | 5分51秒 |
レンダリング時間 | 調査中 | 56分01秒 | 調査中 | 14分16秒 | 9分08秒 |
レンダリング完了後から書き出し | 調査中 | 11分19秒 | 調査中 | 5分25秒 | 4分35秒 |
実際の書き出し時間 | 約8分 | 約11分 | 約8分 | 約9分 | 約5分 |
M1チップを搭載しているMacBook Air(M1)、MacBook Pro 13インチ(M1)はとにかく書き出し速度が高速です。外部GPUを搭載しているMacBook Pro 16インチに迫る速度となっています。
これでいて、発熱が少なくてバッテリーがあまり減らないのだから驚きの電力効率なんですよね。この書き出しで消費したのは5〜7%ほどで16インチだと15%ほど電池が減ります。
なお、レンダリング作業はCPUのリソースを消費しますが、M1チップはパワフルなのでレンダリングしながらでも他の作業をするといったことも可能です。MacBook Pro 16インチでもながら作業は可能ですがファンが盛大に周りだし電池が減りまくるので現実的ではないです。
しかし、MacBook Air(M1)とMacBook Pro 13インチ(M1)ならそれが可能となります。
動画編集とメインメモリの容量
8GB・16GBの書き出し速度比較
MacBook Air、MacBook Pro 13インチは標準モデルは8GBのメインメモリを搭載していますが購入時に16GBにカスタマイズすることができます。
標準の8GBのままでいいのか、16GBに増設しておくのがいいのか。Intelプロセッサを搭載しているモデルは迷わずに16GBにカスタマイズしておくのが良かったですが、M1チップを搭載しているモデルは8GBでもそこそこ快適に動作します。
ただ、長く使うことを想定しているのなら動画編集の有無関係なしで16GBにカスタマイズしておくのがおすすめです。数年後は16GBのメインメモリが当たり前になってるはず。
では、8GBと16GBで動画の書き出し時間に差が出るのか?
Intelプロセッサを搭載したMacBook Pro 13インチ(2019・1.4GHz)のメインメモリ16GBと8GBで実際に計測してみました。今回、この検証のためにMac整備済製品で8GBのメインメモリを搭載しているモデルを購入してしまいました…。

結果はこんな感じ。
MacBook Pro 13インチ(2019) | ||
CPU | Core i5-8257U @1.4GHz (4コア) | |
メインメモリ | 16GB | 8GB |
レンダリング削除から書き出し | 12分13秒 | 12分15秒 |
レンダリング時間 | 14分29秒 | 15分11秒 |
レンダリング完了後から書き出し | 5分5秒 | 5分16秒 |
16GBのメインメモリを搭載したモデルの方が時間が短縮されるのかと期待してましたが、実際のレンダリング時間・書き出し時間にそんなに差は出ないようですよね。
M1チップを搭載したMacBook Air(M1)とMacBook Pro 13インチ(M1)でも比較しましたが、大きな差はありません。むしろ、これはファンの有無による性能差とみていいでしょう。
Mac mini(M1) | MacBook Pro 13インチ(M1) | MacBook Air(M1) | |
CPU | M1(8コアCPU・8コアGPU) | M1(8コアCPU・7コアGPU) | |
メインメモリ | 8GB | 16GB | 8GB |
書き出し時間 | 7分12秒 | 7分37秒 | 7分52秒 |
電池消費量 | – | 3% | 6% |
「じゃあ、16GBのメインメモリは必要ない?」というわけではないです。編集中の快適さは8GBよりも16GBの方が上です。
厳密にいうとFinal Cut Proを単独で動作させてる場合は差はほとんどないですが、別のソフトウェアを起動しながらマルチタスクで作業するときに差が出る感じ。
例えば、動画編集中にPhotoshopやIllustratorでサムネイルを作成したり、動画に差し込む画像を作ったりする場合は16GBあることで安定した作業環境を作ることができます。
また、外付けの4Kモニターを使って作業する場合もメモリは多い方が安定した動作を得ることができます。
+20,000円でカスタマイズできるし後から追加することができないので可能なら16GBにしておくのがおすすめです。CPUをカスタマイズするくらいならメモリにお金をかけたほういいはず。
16GBと32GBの違い
MacBook Pro 13インチ(Intel)とMacBook Pro 16インチのメインメモリは16GBとなっていて+40,000円で32GBにカスタマイズすることができますが、余程なことがない限り32GBに増設する必要性はありません。
MacBook Pro 13インチは32GBにすることで速度が速くなる可能性はあります。ただ、外部GPUを搭載しているMacBook Pro 16インチはそこまで変化はないはず。
というのも、iMac 27インチで16GBと32GBで比較してみると書き出し速度にそんなに差は出ないんですよね。
iMac 27インチ(2019) | |||
CPU | Core i5-9600K @3.7GHz(6コア) | ||
GPU | Radeon Pro Vega 48(8GB HBM2) | ||
メインメモリ | 64GB(16GB ×4) | 32GB(16GB ×2) | 16GB(8GB ×2) |
レンダリング削除から書き出し | 4分54秒 | 4分52秒 | 5分24秒 |
レンダリング時間 | 5分17秒 | 5分45秒 | 4分25秒 |
レンダリング完了後から書き出し | 4分10秒 | 5分41秒 | 4分29秒 |
これは、外部GPUには高速メモリ(GDDR5・GDDR6・HBM2)を搭載し内蔵GPUで動作しているMacBook Pro 13インチとは根本的に構造が異なり、メインメモリの容量が少なくても外部GPUのメモリである程度補うことができるのでしょう。(あくまで想像ですが。)
実際にMacBook Pro 16インチ(Radeon Pro 5300M 4GB GDDR6)のメインメモリ16GBモデルで動画編集をしてモタつく、遅いと感じたことはこれまで一度もありません。
エフェクトを多用したり、4K動画を扱うとなると話は変わってくるのかもしれないですが、一般用途であれば16インチに関しては16GBのメインメモリがあれば十分かなと。
MacBook Pro 13インチは内蔵GPUモデルなので、少しでも快適に作業したいなら上位モデルでメインメモリ32GBに増設するのがおすすめ。おそらく、速度に差は出てくるはず。
動画編集する頻度で選ぶ
月に数回しか動画編集しないならAirでいい
MacBook Airでも快適に動画編集できますが、高い頻度で動画編集することが多いならMacBook Pro 13インチ(M1)を選ぶのかいいかもです。電池持ちがいいので外でもずっと作業をすることができます。
外で使うマシンとしてIntelプロセッサを搭載したモデルは選ばない方がいいでしょう。もし、月に数回しか動画編集しないならMacBook Airでも問題ないでしょう。

- 月に数回動画編集:MacBook Air
- 高い頻度で動画編集:MacBook Pro
MacBook Air(M1)はM1チップ(8コアCPU・7コアGPU)が標準モデルとなっていて、+5,000円で(8コアCPU・8コアGPU)にカスタマイズすることができます。
正直なところ目で見える性能差はほとんどないので8コアCPU・7コアGPUのM1チップで問題ありません。快適に作業できますし、動作に差が出ることはほとんどないでしょう。
MacBook Pro 13インチを選ぶのがおすすめ
では、MacBook Proにするなら13インチと16インチどっちがいいのか?
動画編集はMacBook Pro 13インチ(1.4GHz)の性能があれば十分こなすことができます。外でも作業することがあって持ち運びを重視するなら13インチモデルを選ぶのがいいでしょう。

- 快適に作業したいなら13インチ(M1)モデル
- 外で作業することが多いなら13インチ(M1)モデル
- 拡張性、互換性を重視する13インチ(Intel)モデル
- 大きい画面サイズで作業するなら16インチ
もし、アプリの互換性や拡張性を重視するならMacBook Pro 13インチ(Intel)かMacBook Pro 16インチを選ぶのがおすすめです。M1モデルは最大1台までしか外部モニターの接続ができない、仮想化環境でWin 10の起動ができないといった問題があります。
Final Cut Proで動画編集した時のバッテリー持ちは電力効率の良いM1チップモデルは4〜5時間ほど、MacBook Pro 16インチ・13インチは3時間ほどとなっています。
動画編集におすすめのMacBook:まとめ
基本的にどのMacBookを選んでも動画編集は問題なくすることができます。使い頻度に合わせて適材適所の端末、スペックのモデルを選ぶのがいいです。
月に数回しか動画編集をしない、または動画の時間が5分とか短めのものを編集することが多いならMacBook Airの性能があれば十分作業をこなすことができます。
予算に余裕があるなら+20,000円で8GB → 16GBのメインメモリに増設しておくのがおすすめです。
- MacBook Air(M1・8GB・256GB):104,800円
- MacBook Air(M1・16GB・256GB):124,800円
- MacBook Pro(M1・8GB・256GB):134,800円
- MacBook Pro(M1・16GB・512GB):174,800円
- MacBook Pro(第10世代4コア・16GB・512GB):188,800円
動画編集することが多いならMacBook Pro 13インチにした方が、快適に作業をこなすことができます。
MacBook Air(M1)で十分
MacBook Air(M1)は性能だけ見ればMacBook Pro 16インチに匹敵する高い性能を持ったM1チップを搭載しているので、Airであってもかなり快適に動画編集することができます。
Proと同じチップを搭載していることから性能差はほぼありませんが、電池持ちはAirよりもProの方が上となっています。外で作業することが多くて、電池持ちを重視したいならMacBook Pro 13インチ(M1)を選ぶのがいいのではないでしょうか。
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