
キヤノンがついにフルサイズミラーレス一眼カメラ・EOS Rを発表して2018年10月下旬に発売しました。ニコンに続きキヤノンもフルサイズミラーレス市場に参入したことでなかなか面白くなってきましたね。
EOS Rは価格帯から見て一眼レフカメラのEOS 6D mark2と同じクラスのカメラになるのかなーと思うので、EOS R・EOS 6D mark2・EOS Kiss Mの3機種でスペックとデザインを比較してみたいと思います!
この記事の目次
EOS R・Kiss M・6D Mark2 スペックの違いを比較
デザイン・サイズ・重量の違い
EOS Rの外観デザインはEOS 6Dmark2とEOS Kiss Mを融合したかのようなデザインになっています。1987年に発売されたEOS 650のデザインに似ているのかな思うのですが発表会でEOS 650が紹介されていたので意識しているのかも。

EOS Rの本体サイズは一眼レフのEOS 6Dmark2よりもコンパクトでEOS Kiss Mよりも大きく大型グリップを搭載しているので大口径レンズを装着しても安定性は良さそうです。
モデル | EOS R | EOS Kiss M | EOS 6Dmark2 |
---|---|---|---|
サイズ | 135.8 × 98.3 × 84.4 mm | 116.3 × 88.1 × 58.7 mm | 144.0 × 110.5 × 74.8 mm |
重量 (撮影時) |
約660g | 約387g | 約765g |
EOS RはコンパクトボディなのにEOS 6D並みの大型グリップを搭載。サブモニターも本体上部に搭載しているので液晶画面を見なくても情報を瞬時に確認することができるようになっています。
従来のアナログチックなモード切り替えダイヤルがない代わりにMODEというボタンとサブ電子ダイヤルが新しく搭載されており、MODEボタンを押してダイヤルを回すことでモード切り替えができるようになっています。(サブモニターにモード表示される。)

EOS Rはバリアングルタイプのタッチパネル対応のディスプレイとEVFを搭載した一眼レフスタイルのカメラとなっています。EOS 6Dと比べてもシュッとスリムダウンしていてなかなかカッコイイのではないでしょうかね。

EOS Rには新たにマルチファンションバーが搭載されておりスライド操作やタッチ操作で設定変更をすることができるように。ISO、ホワイトバランス、ピント確認、動画撮影、フレキシブルAE、AF、画像送りを任意に設定することができるようになっています。
スペック・性能の違い
EOS RのスペックについてEOS Kiss MとEOS 6D Mark2で比較をしてみたいと思います。
イメージセンサー・プロセッサ・レンズ
EOS Rに採用されているイメージセンサーはフルサイズの3030万画素のデュアルピクセルCMOSセンサー、映像エンジンにはEOS Kiss Mにも採用されたDIGIC 8が搭載されています。
モデル | EOS R | EOS Kiss M | EOS 6Dmark2 |
---|---|---|---|
イメージセンサー | フルサイズ デュアルピクセル CMOS | APS-C デュアルピクセル CMOS | フルサイズ デュアルピクセル CMOS |
画素数 | 約3030万画素 | 約2410万画素素 | 約2620万画素 |
プロセッサ | DIGIC 8 | DIGIC 7 | |
手ぶれ補正 | レンズ内手ぶれ補正 デュアルセンシングIS |
レンズ内手ぶれ補正 | |
マウント | RF | EF-M | EF |
内径 | 54mm | 47mm | 54mm |
フランジバック | 20mm | 18mm | 44mm |
ボディ内手ぶれ補正は非搭載ですがデュアルセンシングISに対応していて動画だけでなく静止画でも最大5段分の手ぶれ補正をすることができます。
レンズマウントはそれぞれ異なっており互換性はありませんが、EOS Rはマウントアダプターを使用することでEFレンズを使うことができます。
RFレンズの特徴としてはEFレンズと同じ内径なのにイメージセンサーからレンズの距離(フランジバック)が20mmと近くRFレンズの光学性能を最大限に発揮させていること。今までミラーがあったのがなくなったことでその空間を無駄なく使っているのがRFレンズということになります。
なお、2019年3月にはスペックを抑えたEOS RPが発売となっています。イメージセンサーは2,620万画素に抑えられていますが15万円くらいで買うことができるので実用的なフルサイズミラーレスカメラになっています。
シャッター・露出・オートフォーカス
EOS RはデュアルピクセルCMOSとDIGIC 8の組み合わせによりフルサイズカメラで世界最速だという0.05秒を実現。0.05秒ってよく見る数字のように思いましたが世界初なんだそうです。
モデル | EOS R | EOS Kiss M | EOS 6Dmark2 |
---|---|---|---|
AF測距点 | 最大5655ポジション(横87 × 縦65) エリア分割数(143分割) |
最大143点 | 45点(7560画素RGB+IR測光センサー) |
低照度AF | EV-6.0 | EV-2.0 | EV-2.5(ライブビュー時) |
顔認識 | 瞳AF・顔認識 | 瞳AF・顔認識 | 顔認識(ライブビュー時) |
ISO | ISO100~40000(拡張ISO:50/51200/102400) | ISO200~25600(拡張ISO:51200) | ISO100~40000(拡張ISO:50/51200/102400) |
シャッター構造 | ミラーレス (電源OFF時シャッターが閉じてゴミ混入防止、サイレントシャッターに対応) |
ミラーレス (サイレントシャッターに対応) |
一眼レフ |
連写機能 | 最高約8.0コマ(最大100枚) | 最高約10コマ(最大33枚) | 最高約6.5コマ(最大110枚) |
シャッター速度 | 1/8000~30秒、バルブ | 1/4000~30秒、バルブ | 1/8000~30秒、バルブ |
EOS Rは低照度AFの性能がEV-6.0を実現。暗いところでもフォーカスを正確にピントを合わすことができます。SONY α9でもEV-3.0なのでEV-6.0ってとんでもない性能ですよね。(ただし、RF 50mm F1.2Lのレンズを使った時の数字なのもうちょい暗めのレンズを使った時はどんなもんなのかな?)
動画性能
EOS Rの動画性能ははこんな感じです。
モデル | EOS R | EOS Kiss M | EOS 6Dmark2 |
---|---|---|---|
動画性能 | 4K/30p(480Mbps) | 4K/24p(120Mbps) | Full HD/60p |
4K動画撮影に対応していますがフレームレートは30pとちょっと微妙な感じです。DIGIC 8なら4K/60pいけると思うんですけどわざと性能を落としている感じなのでしょうか。
その他の機能として4Kフレーム切り出し、4Kタイムラプス動画なども使えます。
液晶とEVF
EOS Rの液晶は他のモデルよりも一回り大きい3.15インチの210万ドットの高精細モニターが採用されています。もちろんタッチパネルに対応していて被写体にタッチしてピントを合わせることもできます。
モデル | EOS R | EOS Kiss M | EOS 6Dmark2 |
---|---|---|---|
液晶 | 3.15インチ バリアングル タッチパネル 約210万ドット | 3インチ バリアングル 約104万ドット | 3インチ バリアングル タッチパネル 約104万ドット |
ファインダー | 0.5型有機EL 369万ドット 倍率:0.76 | 0.39型有機EL 236万ドット 倍率:? | 光学式ファインダー 倍率:0.71 |
電子ビューファインダー(EVF)はEOSKiss Mよりも大きく高解像度のものが採用されています。EOS Kiss MのEVFも結構綺麗で見やすいので、さらに見やすいものになっているのはいいですね。
ワイヤレス通信とポート
EOS RはWi-FiとBluetoothに対応しているのでアプリ・Camera Connectを使ってスマホやタブレットに簡単に画像を転送することができます。
モデル | EOS R | EOS Kiss M | EOS 6Dmark2 |
---|---|---|---|
ワイヤレス | Wi-Fi(802.11b/g/n) Bluetooth |
||
入出力端子 | USB3.1 Type-C HDMIマイクロ端子(Type C) |
USB2.0 Micro-B HDMIマイクロ端子(Type D) |
USB2.0 Micro-B HDMIマイクロ端子(Type C) |
また、USB-Cに対応したのでカメラと直接ケーブルを繋ぐと超高速で画像をPCに転送することもできるでしょう。
バッテリー駆動時間
バッテリーパックはEOS 6Dmark2と同じLP-E6Nですが、撮影可能枚数が350枚とミラーレスカメラらしい撮影枚数になってしまいました。
モデル | EOS R | EOS Kiss M | EOS 6Dmark2 |
---|---|---|---|
標準撮影枚数 | 350枚 | 235枚 | 1200枚 |
動画撮影時間 | 約2時間20分 | 約1時間25分 | 約2時間40分 |
バッテリー型式 | LP-E6N | LP-E12 | LP-E6N |
動画撮影時間はさほど差はないのに写真になると撮影枚数が極端に減ってしまうのは不思議ですよね。
一眼レフカメラは光学式にAFを合わせたり露出を調整しているのに対し、ミラーレスカメラは常にデュアルピクセルセンサーとDIGIC 8をフル稼働させて調整しているのでしょうか。バッテリー消費が激しくなってしまうのかも。
EOS Rのスゴイところ
フルサイズなのにコンパクトボディ
EOS Rはミラーレスカメラなのでコンパクトボディを実現していますが、大型グリップにサブモニターを搭載するなど使いやすさを犠牲にすることなくバランスの良いデザインになっているように感じます。
フルサイズミラーレスはSONYの独擅場となっていましたが、キヤノン、ニコン、パナソニックが参入したことで新たな局面を迎えることになりそうです。
マルチファンションバーなど新しい操作方法を提案
EOS Rにはマルチファンションバーという新しい操作ボタンを搭載しています。
さらにRFレンズ側にはコントロールリングを搭載し本体右上部にカスタム可能なサブダイヤルを搭載することで、ファインダーを覗きながらあらゆる操作を可能にしています。

慣れるまで大変そうだけどスライド操作と左右のタップ操作によりいろんな機能を操作することができるのでなかなか使いやすそう。
なんとなくMacBook Proのタッチバーからアイデアを得たんじゃないかなーという気もしないではないですが、どれくらい快適に操作することができるのかが気になるところ。
ミラーレスにすることでただボディを小さくするだけではなく新しい操作性を追求している姿勢が王者の風格があります。
電源を切るとシャッターが閉じてゴミ付着を防ぐ
ミラーレスカメラはレンズ交換するためにレンズを外すとセンサーむき出しになってしまうのでゴミが付着しないように神経を使いますが、EOS Rは電源がOFFになるとシャッターが自動的に閉じる仕組みになっています。

カッコイイ!すげええー!!
つまり、レンズ交換時はセンサーはシャッターが閉じた状態なのでゴミが付着しないんです。その発想なかった。めちゃ単純なことなんだけど。これは他メーカーも真似するんじゃないかなー?
Fvモード(フレキシブルAE)の新モードを搭載
EOS RはFvモード(フレキシブルAE)が新しく搭載しています。
例えば、Avモード(絞り優先)でF2.8に設定した状態でシャッタースピードをもう少し上げたいと思ったときにFvモードなら絞りをF2.8に固定した状態でシャッタースピードを変更することができるというモード。
これ、めちゃくちゃ便利じゃないですか。今まではAvモードでシャッタースピードを変更しようと思ったら絞りを変えるかTvモードから変える必要がありましたが、Fvモードならモード切り替えせず簡単に設定を変えることができます。
発売から2年で価格が下がってきた
EOS Rは2018年10月下旬に発売しボディ価格は約24万円ということでフルサイズとしては標準的な価格となっていましたが、発売から2年経過した事もあり現在は19万円くらいでEOS Rボディを手に入れることが可能となっています。
また、上位モデルとしてEOS R5、EOS R6が2020年8月以降に発売されます。
EOS RPが15万円くらい、中古なら12万円となっているのでキヤノンのフルサイズミラーレスカメラは意外と手にしやすい価格になってきた感じがしますね。
画質についてはEOS Rの方が上なのは間違いないですが、同じ最新のRFレンズを使うことでEOS RPでも十分に解像感の高くてキレイな表現が可能となっているので、個人的にはEOS RPでも十分なんじゃないかなと思っています。
バッテリー駆動時間ですが、不思議ではありませんよ。
EVFあるいは液晶を使った場合は消費電力が高く、光学ファインダーを使った場合は消費電力が小さいからです。
6D2の静止画撮影時の駆動時間は、おそらく光学ファインダー使用時で、ライブビュー撮影したらEOSRとあまり変わらない駆動時間かと思います。
6D2の動画撮影は液晶のライブビューを使ってるからEOSRとあまり差がないのかと思われます。